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さっそくですがプレゼンテーション作成ツールといえば、真っ先に思い浮かぶのが「Microsoft PowerPoint」(以下、パワポ)です。しかし近年、ビジュアルデザインツールとして急速に普及している「Canva」が、パワポに対して強力な競争相手として台頭してきています。
本講座では、Canvaとパワポを比較し、それぞれの特徴、強み、弱み、そしてどちらがどのような場面で適しているのか、さらにパワポ×Canvaを使った具体的な資料作成方法や、Canvaに変換できない場合の対処法もお伝えします。
Canvaとは?
Canvaは2013年にオーストラリアで設立されたオンラインデザインツールです。初期の頃は、非デザイナーが簡単に美しいビジュアルコンテンツを作成できるツールとして注目されましたが、現在ではプロのデザイナーやマーケターにとっても欠かせない存在となっています。
Canvaの最大の特徴は、シンプルで直感的な操作性です。何千ものテンプレート、イメージ、イラスト、フォントが用意されており、ドラッグ&ドロップで簡単にビジュアルをカスタマイズできます。これにより、初心者でも短時間で質の高いデザインを作成できるのが強みです。
パワーポイントとは?
Microsoft PowerPoint(パワーポイント)は、1987年にリリースされた歴史あるプレゼンテーション作成ツールです。Word、Excelと並んで、Microsoft Office製品の一つとして広く普及し、ビジネスや教育の場で最も使用されているプレゼンテーションソフトウェアの1つです。
パワポは、豊富な機能とカスタマイズの自由度を誇っています。スライドに文字や画像、図形を配置するだけでなく、アニメーションやトランジション効果、動画や音声の挿入など、表現の幅が非常に広いです。プレゼンテーションのプロフェッショナルにも使われる一方で、機能が多岐にわたるため、初心者には少し取っつきにくい面もあります。
また、パワーポイントは、オフラインでの使用が可能であり、大規模なカスタマイズや複雑なビジュアル効果の編集にも対応できるのが特徴です。Microsoft 365の一部として提供されているため、他のOffice製品との連携もスムーズです。
Canva vs パワーポイント 基本機能の比較
1. デザインの柔軟性とテンプレートの豊富さ
Canvaは、ビジュアルデザインに特化したテンプレートや素材が豊富です。プレゼンテーションだけでなく、SNS投稿用の画像、ポスター、フライヤー、名刺など、さまざまなフォーマットに対応したテンプレートが用意されています。Canvaのテンプレートは視覚的に洗練されており、デザインの知識がないユーザーでもプロフェッショナルな見た目のコンテンツを作成できます。
一方、パワーポイントはプレゼンテーション専用のツールとして優れた機能を持っていますが、テンプレートの種類やデザイン性ではCanvaに劣る部分があります。特に、視覚的なインパクトが重要なマーケティング資料や広告には、Canvaの方が適していると言えます。
2. 操作性とユーザビリティ
Canvaの最大の強みは、操作性のシンプルさです。誰でも簡単にドラッグ&ドロップ操作でデザインを作成でき、複雑な操作を覚える必要がありません。クラウドベースのツールであるため、インターネットに接続してさえいればどこからでも作業が可能です。また、スマホやタブレットにも対応しており、モバイル端末でもスムーズにデザインを編集できます。
一方、PowerPointは機能が豊富な分、操作がやや複雑です。特に、デザインの細かい調整やアニメーションの設定などを行う際には、ある程度の経験や知識が必要になります。直感的な操作を求める初心者には、Canvaの方が使いやすいでしょう。
3. コラボレーション機能
Canvaは、チームでの共同作業に非常に優れたツールです。リアルタイムで他のメンバーとデザインを共有し、コメントを入れたり、共同で編集作業を行ったりすることができます。ビジュアルコンテンツの作成において、複数のメンバーが協力して作業する場合、Canvaの共同編集機能は大きなメリットとなります。
パワーポイントでも、Microsoft 365を利用してクラウド上でファイルを共有し、共同編集することが可能ですが、リアルタイムでの編集機能やコメント機能においては、Canvaの方が直感的で使いやすいと感じるユーザーが多いです。
4. カスタマイズの自由度
パワーポイントは、細かいレイアウトやアニメーション効果、フォント、カラーのカスタマイズにおいて優れています。特に複雑なスライドデザインを求めるユーザーにとっては、パワポの自由度の高さが魅力です。アニメーションやトランジションを駆使して、動きのあるプレゼンテーションを作成することもできます。
一方、Canvaはテンプレートや素材が充実している分、カスタマイズの自由度がやや制限されています。デザインの一部を大きく変更したい場合や、特殊なエフェクトを追加したい場合には、Canvaでは不十分と感じることもあります。
5. 価格とコストパフォーマンス
Canvaは基本的に無料で使用できます。(例えば営業資料のテンプレートは無料版でも約10,000点あります)
より高度な機能やテンプレート、素材にアクセスするためには法人利用の場合「Canva Pro」プラン(月額1,250円程度)が必要です。無料プランでも十分に使える機能が多い一方で、プロフェッショナルなデザインを求める場合はProプランの加入が推奨されます。
パワーポイントは、通常Microsoft 365のサブスクリプションに含まれており、個人用プランは月額数百円から数千円程度です。Office製品全体を利用できるため、コストパフォーマンスは高いと言えますが、プレゼンテーション作成のみを目的とする場合、Canvaの無料プランの方が経済的な選択肢となることが多いです。
Canvaとパワーポイント: どちらが適しているか?
1. 短時間でビジュアルに強いプレゼンを作成したい場合
Canvaがおすすめです。視覚的に魅力的なテンプレートが豊富で、簡単な操作で美しいデザインを作成できるため、デザインに時間をかけたくない場合や、デザインの経験がない場合に特におすすめです。また、短時間でSNS用のコンテンツや広告ビジュアルなども一貫して作成できるため、マーケティング用途にも非常に便利です。
一例:営業資料テンプレート例
2. 複雑なプレゼンテーションや細かなカスタマイズが必要な場合
目的によって変わりますが、パワーポイントのほうがおすすめです。多彩なアニメーションやトランジション機能、詳細なレイアウト調整が可能で、プレゼンテーション全体に動きやダイナミズムを加えることができます。特に、大規模なビジネスプレゼンテーションや教育現場での詳細な解説スライドを作成する際には、パワポの豊富な機能が役立ちます。
3. チームでの共同作業や遠隔での編集が多い場合
マイクロソフト365を使用しているかによって変わりますが、共有機能の豊富さを考えるとCanvaの方が優れています。クラウドベースであるため、複数のメンバーがリアルタイムで同じデザインを編集できるのは、大きな利点です。特に、遠隔地にいるメンバーとスムーズにコラボレーションしたい場合や、頻繁にフィードバックをもらいながら作業を進める必要がある場合には、Canvaの共有機能が便利です。
4. オフライン作業やMicrosoft製品との連携が必要な場合
パワーポイントに軍配が上がります。オフラインでも使用でき、また他のMicrosoft Office製品(WordやExcel)との連携が非常にスムーズです。特にビジネス環境で、Office製品を頻繁に利用している企業や組織では、パワポが最も効率的に作業を進めるための選択肢となります。
Canvaとパワーポイントを連携して使いましょう
実は、Canvaとパワーポイントは対立するツールというよりも、補完し合う関係にあります。
Canvaで作成したデザインやスライドは、パワーポイント形式でエクスポートすることができ、逆にパワーポイントで作成したスライドをCanvaで再編集することも可能です。このように、両方のツールの強みを活かして使い分けることで、さらに効率的に魅力的なプレゼンテーションを作成することができるでしょう。
例:営業資料をCanvaで作成してパワーポイントで出力する方法
1. 検索窓に「営業資料」と入力してenterボタンを押す
2. 無料デザインの「営業資料テンプレート」が表示されるため、好きなデザインをクリック
3. テンプレートに合わせてロゴやテキストを修正
4. デザインが完成したら右上の「共有」ボタンをクリック
5. ファイルの種類で「パワーポイント」を選択後、「ダウンロード」ボタンをクリック
※デザインで使用したフォントがパソコン端末内に入っていない場合、フォントが置換されますのでご注意ください
6. ファイルがダウンロードされますので、保存場所を指定し完了
7. パワーポイントファイルでダウンロードした場合、そのまま編集可能です。
より具体的にCanvaで資料作成する方法について知りたい方は、下記講座もご覧ください。
Canvaからパワーポイントに変換できない、ずれる原因と対処法
Canvaで作成したデザインをパワーポイントで出力する方法は先述の通りですが、デザインによってはパワーポイントに変換できない、またはパワーポイントで確認するとデザインがずれてしまう場合があります。本項では、その原因と対処法についてお伝えします。
使用しているテンプレート(デザイン)がパワーポイントに対応していない
変換できない場合の最もよくあるケースが、選択しているデザインがパワーポイントに対応していないテンプレートを使用している場合です。(例:チラシで作成した1枚のデザインを直接パワーポイントに変換しようとしているなど)
この場合には、ダウンロード時に選択するファイルの種類に「PPTX=パワーポイント」が表示されません。
対処法としては、一度Canvaホーム画面に戻って検索窓に「パワーポイント」などと入力し、検索結果に表示されたパワーポイント対応のテンプレートを開いてください。その後、もともとダウンロードしたかったデザインを新しいデザインに移動(コピーしてサイズなどを調整)し、再度ダウンロードを試してください。ファイルの種類に「PPTX=パワーポイント」が表示されるはずです。
使用している素材の容量が大きく、ダウンロードできない
また、ファイルの種類でパワーポイントを選択でき、ダウンロードボタンを押すことができてもダウンロードできない場合があります。
このケースでは、使用している素材の容量が大きく、お使いのインターネット環境やCanva側のサーバー負荷によってパワーポイントファイルがダウンロードできない可能性があります。
対処法としては、使用している画像や動画を一度削除してダウンロードできるか試してください。問題なくダウンロードできる場合、素材が原因となっていますので素材自体をリサイズ(容量を少なくする)して使用するか、素材を変更してください。
まとめ
CanvaとPowerPointは、それぞれ異なる特徴と強みを持つツールですが、どちらもプレゼンテーション作成やビジュアルデザインにおいて強力な選択肢です。シンプルで直感的な操作を求めるならCanvaが適しており、複雑なプレゼンテーションや細かいカスタマイズを行いたい場合はPowerPointが最適です。
また、両方のツールを使い分けることで、それぞれの利点を活かしながら、より質の高いデザインを効率的に作成できるでしょう。
それでは本日の講座、「初心者必見!パワポ×Canvaでデザイン力も効率も爆上がりな資料作成」は以上です。
お時間いただきありがとうございました。