話題のAI機能にも力を入れ始めたCanvaの最新ビジネスモデルを徹底解説!

話題のAI機能にも力を入れ始めたCanvaの最新ビジネスモデルを徹底解説!
ビジネスパーソン講師:みやもと

ビジネスパーソン講座へようこそ!講師のみやもとです。
近年、だれでもクオリティの高いデザインを作成できるツールとして多くのユーザーから支持を集めているCanva。その理由の一つとして、直感的に操作できるインターフェースやテンプレートの豊富さが挙げられます。しかし、Canvaの進化はそこにとどまらず、AI技術を活用した新機能にも力を入れ始め、注目を集めています。特にビジネス分野では、AIを駆使した革新的なツールとしてその存在感をさらに強めています。
本講座では、Canvaが取り組む最新のAI機能やその背景にあるビジネスモデルについて、詳しく解説していきます。なぜCanvaがここまで支持され、企業や個人から選ばれ続けるのか、その秘密に迫りましょう。

講座 目次

Canvaとは? 概要や利用者数など基本情報と沿革

Canvaの基本概要

Canvaの基本概要

Canva(キャンバ)とは、一言でいうとウェブ上で大量のテンプレートを使用できる無料デザインツールです。素材や機能によっては有料プランでしか使えない場合もありますが、とにかく無料で使える範囲が広く、世界中で人気のツールとなっています。

利用者はデザインの知識がなくてもテンプレートに従ってテキストや素材を調整するだけでクオリティの高い画像、営業資料やチラシ、動画などを作成できるため、フォトショップやイラストレーターなどの知識が必要なツールと比較し、営業やウェブマーケター、ブロガー、動画編集者など職種に関係なく誰でも使うことができます。

【Canva会社概要】2012年にオーストラリアで設立された会社で、世界中にオフィスを構えている大企業。親会社がCanva Inc.で、子会社にはPixabay、Pexels、Serif Europe、Kaleido.ai、Smartmockups、Flourishなどの大手素材ストックサービスやAI企業を傘下にしている。グッドデザイン賞(2020度受賞)、アクセシビリティアワード(2022年度受賞)、Apple Appアワード(2022年度受賞)、最も革新的な企業(2022年選出)など世界中で多数の賞を受賞している。

利用者としてCanvaの基本について詳しく知りたい方は、下記講座もあわせてご覧ください。

数字で見るCanva

Canvaを構成する主な数字は以下の通りです。

項目数字
設立2013年
従業員数(2023年)3,500人(子会社は含まない)
売上(2023年)23億(US$)
月間アクティブユーザー数(2024年)1億9,000万以上
使用されている国の数(2024年)190か国
対応言語数(2024年)100以上
これまでデザインされた数(2024年)150億以上
Canva内アプリ(2024年)300以上
Canva内アプリ使用数(2024年)約10億回
使用できるテンプレート数(2024年)380万以上
写真・動画・イラスト・BGMなどの素材数(2024年)1.27億以上
引用元:Canva Pty Ltdのプレスリリース、オーストラリアン・ファイナンシャル・レヴュー、フォーチュン誌等

Canvaの沿革(成長と軌跡)

STEP
2013年:オーストラリア連邦のパースで創業

創業者メラニー・パーキンスがオーストラリアで講師だった時、デザインソフトの習得に苦戦する学生からビジネスチャンスを見つけてデザイン制作ツールを作成し、そのまま創業。初年度で75万人以上の利用者を集めている。(引用:The New York Times)

STEP
2017年:収益が1600万(US$)に増大

2017年の段階で企業として採算性を獲得し、有償ユーザーは294,000人になっている。(引用:techcrunch.com)

STEP
2020年:FedEx Office、オフィス・デポと提携、企業価値は約42億(US$)に

FedEx Officeは現キンコーズでコピーサービスを中心としたソリューション事業を展開する企業。オフィスデポは世界最大の文具・オフィスに関連する商品全般を取り扱うディスカウントストア・チェーン。両社と提携することでCanva×リアルの距離が近くなっている。(引用:Bloomberg)

STEP
2022年:広告をAIでサポートする「Magic Write」を公開、企業価値は約260億(US$)
文章(テキスト)の自動生成

AIにも力を入れ始め、翌年には既存のデザインにおすすめのグラフィックとデザインを作成する新しいツールを発表している。(引用:Septembe、およびTechCrunch)

STEP
2024年:Canva内アプリ利用10億回突破を受け開発者プラットフォームを拡大

2024年9月時点でCanvaの開発者コミュニティは日本を含む122か国からのメンバーを擁するほどに拡大し、現在300以上のアプリが提供されている。(引用:Canva Extend 2024)

以上、Canvaは設立から十数年しか経過していませんが、その使いやすさと今までにないビジネスモデルで圧倒的なユーザー数を獲得し、急拡大していることが分かると思います。

Canvaのビジネスモデル

Canvaのビジネスモデルは、簡単に言うとフリーミアムと呼ばれるものです。

フリーミアムとは…基本的なサービスや製品を無料で提供し、より高度な機能やサービスは有料で提供するビジネスモデルです。
Canvaを例にすると、無料で基本的にデザイン作成、一部の素材を使用することができるため、多くのユーザーが集まります。そして無料ユーザーの一部がより便利な機能や、有料素材を使用したいと感じたとき、お金を払って有料プランに切り替えることになります。
つまり、無料でも実際に使用してもらい、価値を感じてもらってからお金をいただくという、利用者側にとっても納得感を得やすいビジネスモデルとなります。

具体的なCanvaの収益モデルは、主に以下3つに分けられます。

  1. 無料プラン
    広告付きで使える基本機能が提供されており、多くのユーザーが無料版から利用を開始します。
     
  2. Canva Pro
    月額制の有料プラン。より多くのプレミアム素材や機能が利用でき、ビジネスユーザーやプロフェッショナル向けに設計されています。
     
  3. Canva for Enterprise
    大企業向けのプランで、チームコラボレーション機能やカスタマイズオプションが充実しています。

これにより、個人から大規模な企業まで、あらゆる層のユーザーに柔軟に対応できるビジネスモデルが構築されています。

さらに、近年ではより便利な機能をユーザーに提供するため、自社開発だけではなくCanva内アプリという形でプラットフォーム化し、外部会社や個人が提供するアプリ(機能)に力を入れています。特にAIに関する機能は自社内で実装することが難しく、企業を買収したり、上記アプリでの提供を開始しています。

無料版と有料版の詳しい比較詳細を知りたい方は、下記講座も参考にしてください。

CanvaがAIに注力する理由

ここ数年で急速に進化しているAI技術は、多くの産業に変革をもたらしています。Canvaもこの潮流に乗り、AIを活用した新機能を次々とリリースし始めました。では、なぜCanvaはAIにこれほど注力しているのでしょうか?

  1. ユーザーの効率化ニーズへの対応
    多くのビジネスユーザーが求めるのは、効率化です。時間をかけずにクオリティの高いデザインを作りたいというニーズに応えるため、AIは非常に有効なツールとなります。CanvaはAIを活用することで、デザインの自動生成や提案機能を強化し、ユーザーがより短時間で素晴らしいデザインを作成できる環境を提供しています。
     
  2. 競合との差別化
    デザインツール市場は非常に競争が激しい分野です。Adobeをはじめとする大手企業がひしめく中で、CanvaはAI技術を武器に他社との差別化を図っています。従来のデザインツールに比べ、AIによる自動化や提案機能を通じて、ユーザーエクスペリエンスの向上を目指しています。
     
  3. さらなるユーザー層の拡大
    AIを取り入れることで、従来はデザインに不慣れなユーザーにもアピールすることが可能です。AIによってデザインの敷居がさらに下がることで、より多くの個人や企業がCanvaを利用するようになり、結果的にユーザー基盤の拡大が見込まれます。

CanvaのAI機能の詳細

Canvaが導入しているAI機能には、どのようなものがあるのでしょうか?以下に、注目すべきいくつかのAI機能を紹介します。

AI生成による支援機能
  1. AIによる自動デザイン生成機能
    CanvaのAI機能の中でも、特に注目されているのが自動デザイン生成機能です。ユーザーが希望するデザインの概要やキーワードを入力すると、AIがそれに基づいて複数のデザイン案を自動で生成してくれます。これにより、デザインのアイデアが浮かばない場合や、時間がない場合でも、高品質なデザインを素早く作成することが可能です。
    例えば、企業のプレゼンテーション資料やSNS投稿用のバナーを作成する際、テンプレートを選ぶだけでなく、AIが提案する複数のデザイン案から最適なものを選択できるようになっています。
     
  2. AIによるフォトエディター機能
    写真編集もCanvaの強力なAI機能の一つです。特に背景の自動削除や画像補正といった機能は、時間を大幅に節約できます。以前は、こうした作業にはPhotoshopなどの高度なスキルが必要でしたが、Canvaではワンクリックで背景の削除や画像のクオリティ向上ができるため、初心者でも簡単にプロ並みの編集が可能です。
    さらに、AIが画像のテーマや内容を分析し、それに最適な編集やフィルターを提案してくれるため、デザインスキルがなくても美しい写真を作り上げることができます。
     
  3. AIによるテキストの提案機能
    CanvaのAIは、文章の提案機能にも対応しています。特にマーケティングやプレゼンテーション用のテキスト作成において、AIがコンテンツのテーマや目的に基づいた適切な文章やキャッチコピーを提案してくれる機能が追加されました。これにより、デザインだけでなく、コンテンツ全体の質を向上させることが可能です。
    例えば、広告バナーを作成する際、ターゲット層や製品に合わせたキャッチコピーや説明文をAIが自動生成してくれるため、デザイナーやマーケティング担当者の負担を軽減します。
     
  4. AIによるカラーとフォントの自動調整機能
    デザインのプロではなくとも、視覚的に美しい配色やフォントの組み合わせを求める人は多いでしょう。CanvaのAIは、デザイン全体のバランスを考慮して自動で最適な配色やフォントの組み合わせを提案します。これにより、ユーザーは専門知識がなくても、見栄えの良いデザインを作成できます。

AI機能について実際に使ってみたいかたは下記講座で詳しく解説していますでご覧ください。

Canvaの最新ビジネスモデル

Canvaは、AI機能を強化することで従来の収益モデルに加え、さらに新たな展開を見せています。ここでは、CanvaがどのようにしてAI技術を活用した最新のビジネスモデルを構築しているのかを見ていきましょう。

こちらもワンクリックで背景が綺麗に透過されます
  1. サブスクリプションモデルの強化
    AI機能の導入により、Canvaは従来のサブスクリプションモデルを強化しています。無料プランでも多くの機能が使える一方で、AIを活用した高度な機能は有料のProプランやEnterpriseプランで利用可能です。これにより、特にビジネスユーザーやデザインを日常的に行うユーザーにとって、Canva ProやEnterpriseが不可欠な存在となってきています。
    例えば、AIによる自動デザイン生成や写真編集機能は、無料ユーザーにおいては制限がかかる場合がありますが、Proプランでは無制限に利用できるため、プロフェッショナルなデザイン作成がスムーズに行えます。
     
  2. 競合との差別化
    Canvaは、AIを活用した新しいサービスを次々と導入し、収益源を多様化しています。例えば、AIによるロゴ自動生成サービスや、マーケティング資料の自動生成ツールなどがその一例です。これらのサービスは、企業向けにカスタマイズされたソリューションとして提供され、特定の業界やニーズに対応しています。
    こうしたAI機能をベースとした新サービスの提供により、Canvaはさらなる成長を続けています。
     
  3. さらなるユーザー層の拡大
    AIを活用したCanvaの新たな取り組みとして、教育分野への進出が挙げられます。学校や教育機関向けに特化した機能やテンプレートを提供することで、教育現場での利用が拡大しています。さらに、教師や生徒が共同でプロジェクトを進められるコラボレーション機能も提供され、遠隔教育やグループ作業にも対応しています。
    教育分野におけるAIの活用により、教育機関はより効率的に学習資料を作成でき、生徒の創造力を伸ばすためのツールとしても利用されています。

Canvaの今後の展望

AI技術を取り入れることで、Canvaは既存のデザインツールとは一線を画す存在となりました。今後、Canvaがどのように進化していくか、いくつかの重要な展望を見ていきます。

  1. AI技術のさらなる進化
    AI技術の進化は、Canvaの将来においても中心的な役割を果たすでしょう。特に、デザイン自動化の精度向上や、より複雑なデザインプロジェクトに対応できるAI機能の追加が期待されています。また、自然言語処理技術を使った文章生成機能の強化により、コンテンツ制作の幅も広がる可能性があります。
     
  2. グローバル展開の強化
    Canvaはすでに世界中で利用されていますが、今後さらに各国市場に特化したテンプレートや機能の導入を進めていくでしょう。AIを活用して多言語対応や地域ごとのニーズに最適化されたサービスを提供することで、国際市場での競争力を高めることが予想されます。

Canvaのビジネスモデルキャンバステンプレート例、使い方

最後に、Canva自体のビジネスモデルではなく、自分たちのビジネスモデルを資料化したい、または企画のフレームワークとして使いたい方も多いと思います。
そんな方のために、下記テンプレートと使い方について詳しく案内しますので、ぜひご活用ください。

ビジネスモデルキャンバス(Business Model Canvas)とは…企業や事業のビジネスモデルを視覚的に整理・分析するためのフレームワークです。9つの要素(顧客セグメント、価値提案、チャネル、顧客関係、収益の流れ、主要リソース、主要活動、主要パートナー、コスト構造)で構成され、これによりビジネスの全体像を一目で把握できます。新規事業の立ち上げや既存事業の改善に役立ち、戦略立案や意思決定のためのツールとして広く利用されています。

おすすめの日本語で使えるビジネスモデルキャンバステンプレート

Canvaのビジネスモデルキャンバステンプレート
上記テンプレートはこちらをクリック

ビジネスモデルキャンバスの使い方、考え方と設定方法

  1. 主要パートナー
    誰と協力してビジネスを運営していくのか考えましょう。パートナーと、パートナーが担う役割を設定します。
     
  2. 主なアクティビティ
    ビジネスを毎日継続させるために、どのようなタスクとアクティビティを実行すべきか考えましょう。
     
  3. 主なリソース
    製品(サービス)をつくるのに使用する有形および無形の材料を考え、設定しましょう。
     
  4. 価値提案
    どのようなニーズに対応するのか。また、製品(サービス)は対象となる顧客にどのような価値をもたらすのか考え、設定しましょう。
     
  5. 顧客との関係
    各顧客セグメントとどのような関係を構築すべきか考え、設定しましょう。
     
  6. チャネル
    製品の入手経路を検討しましょう。また、ターゲット層にリーチする方法をリストアップします。
     
  7. 顧客セグメント
    まず、ターゲット市場を設定しましょう。また、アーリーアダプター(最も早く購入・導入する人々)の特徴は何ですか?製品(サービス)を使用する予定のグループをリストアップして可視化します。
     
  8. コスト構造
    製品(サービス)の発売に伴う固定費と変動費についてリストアップし計上しましょう。採用からマーケティングや流通まで、各段階のコストを考慮してください。
     
  9. 収益の流れ
    収益手段についても必ず設定しましょう。製品(サービス)の価格モデルを記載します。
     

ビジネスモデルキャンバスのフレームワーク精度を上げるコツは、最初から全体を俯瞰して考えすぎず、まず決まっていることを列記していくことです。点と点を線につなげることでアイディアが次々と生まれてきますので、お試しください。

本日の講座 まとめ

Canvaは、AI技術を積極的に取り入れることで、従来のデザインツールとは異なる新しいビジネスモデルを構築しています。デザインの敷居を下げ、プロフェッショナルな品質を手軽に実現できるツールとして、今後もさらに成長を続けると思います。

AIによる自動化や提案機能の進化により、Canvaは個人ユーザーから大企業まで幅広い層に支持されており、特にビジネスや教育分野での活用が拡大しています。これからもCanvaは、AI技術を駆使してユーザーのデザイン体験を向上させ、さらなる市場拡大が見込まれますので、楽しみにしましょう。

それでは本日の講座、「話題のAI機能にも力を入れ始めたCanvaの最新ビジネスモデルを徹底解説!」は以上です。
ここまでお時間いただきありがとうございました。

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